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岩国市豪雨災害復旧支援ボランティアに参加して

9月に入り、いつのまにやら、秋の気配が忍び寄ってきています。 今年の夏は熱中症の患者さんが少なくてよかったなと思う反面、徳島、丹波、福知山、広島での台風や豪雨災害で被災された皆様方の気持ちを思うと、心が痛みます。 私たちは阪神・淡路大震災を経験しました。 その時に思ったことは「当たり前の生活」がいかに幸せであり、大切かということ。 朝起きてご飯を食べて、駅に行くと、電車が時間通りにやってきて、働く職場が当たり前のようにあり、家に帰ると家族がいる。そんな毎日の繰り返しが、当たり前のようにやってくる。そんな生活が、いかに尊いことかを知りました。 災害に合われた方々に、一日でも早くこの「当たり前の生活」に戻れることを、心よりお祈り申し上げます。   今回、岩国市へ災害復旧ボランティアに参加した4階病棟の太田好美さんの感じたこと、学んだことを紹介します。

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神戸市立医療センター西市民病院 4階病棟看護師 太田 好美

 平成26年8月19日~20日、神戸市職員労働組合の派遣として、台風12号及び11号で豪雨被害を受けた山口県岩国市への災害復旧支援ボランティアに参加した。こうした災害ボランティアは学生時代に1度参加したきりで、昨年より兵庫県看護協会の『災害支援ナース』へ登録してからも被災地支援へ行く機会がなかったので、貴重な経験をさせて頂いたと強く感じている。

 我々は、助け合い協定を締結している山口市職員労働組合と共同で、ある家屋周囲の泥かき作業を行った。台風が去って約半月経っているにも関わらず、家屋周囲に泥が残っている風景に衝撃を受けた。死者2名、重傷2名、床上・床下浸水400世帯以上という岩国市の被害状況は理解しているつもりであったが、正確に被災状況を把握するために現地へ赴き目で見て確かめることは非常に大切だと思った。

太田2ボランティア参加者のみなさんと

 実際の泥かき作業は、8月中旬という真夏の野外という条件もあり想像以上に体力を消耗した。作業開始前は30分に1度の休憩でいいかな、などと思っていたが、作業後10分足らずで身体に熱がこもって息が上がり、声のかけ合いも減ってくる状態であった。今回のチームは、リーダーが全体の様子をみて的確に休憩を入れて下さった他、お互いに熱中症等への注意喚起ができていたため、一人も負傷者が出ることがなかった。チームの関係性やリーダー役の的確な判断が現場でのボランティアスタッフの生死を分けると言っても過言ではないと実感した。また必需品の把握や工夫など、体験しなければ分からないことを学んだ。

 家屋のご主人は一見普段通りの生活に戻られているようであったが、表情は何となくせわしないように感じた。復旧が進んでも、やり場のない喪失感や疲労感があったのではないだろうか。『被災者が自分の体験したことや感じたことを早期に話せることは正常なストレス反応の回復を促進させるのに大切』とされている。今回は泥かき作業と組合員の健康管理に専念したが、今後機会があれば被災者の方へのこころのケアを実践していきたいと思う。

太田6

 家屋周囲に残る泥を撤去する様子

 作業終了後、岩国市社協災害ボランティアセンターを見学することができた。ボランティア希望者は、まず受付をした後、救援希望の情報収集をしているブースへ行き、ボランティアの需要と供給のマッチングが行われ、行き先と担当する作業が決まるという流れがあった。ここでは作業道具の調達や送迎のサポートも行われており、ボランティアに来た方々にいかにスムーズに活動をしてもらうかが考えられていると感じた。ボランティアセンターの方の話では、約1,700人を超えるボランティアの受け入れのもと、被害の8割は復旧しているとの事であった。一つの台風の被害に対してこれだけの日数と人の力が必要だったということである。その間のボランティアの調整の善し悪しが復旧のスピードにも影響を及ぼすことは容易に想像できる。『災害支援ナース』として派遣される際は、復旧作業だけでなく現地のコーディネータ役を担うことも求められるだろう。ボランティアとしての経験だけでなく受け入れ側の現場をみてイメージを持つことができたことは大変有意義であった。

 今回のさまざまな経験を活かして、やる気だけでなく、より専門性をもった被災地支援を実践していきたいと思う。

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